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辞書に載っていない、気持ちのことば

夏といえば、子どもたちは自由研究。
大人には提出する相手のいない、本当の自由研究がある。
この夏の私のテーマは、中国語と日本語、それぞれの“気持ちのことば”。


🕊️ 放鸽子──鳩を放つと、約束は消える?

ある日、中国人の友人との会話の中で、「放鸽子(fàng gēzi)」という言葉に出会った。
意味は「ドタキャンする」。
「今天他放鸽子了(今日、彼にドタキャンされた)」のように使う。

直訳は「鳩を放つ」。
なぜ鳩?なぜ約束が消える?
調べてみると諸説あるようですが、「放鸽子」はもともと見世物小屋などで“鳩を飛ばす予定だったけど、鳩が来なかった=人が来なかった”というエピソードが語源になったと言われています。それが転じて「約束をすっぽかす」意味に。
ネットスラングとして定着していて、チャットでもよく使われるらしい。

由来を調べながら、スマホ片手に笑い合った。
言葉って、意味だけじゃなくて、背景にある文化や感情が面白い。


🌤️ 散歩しましょう──試験の合図と、記憶に残る一文

もうひとつの発見は、日本語の「天気がいいから散歩しましょう」。

日本語能力試験の聴解テストで、試音として必ず流れる一文。
日本語を学ぶ人にとっては「聴解が始まるぞ」という合図であり、ある意味では“悪夢の始まり”。

SNSでは「#散歩しましょう」が、
「次こそ頑張る(つまり今回のテストは…)」という意味の投稿に使われることもあるそう。

ある日本語学習者はこう言った。
「“散歩しましょう”は、ちょっと特別な言葉なんです」
ただの例文でも、試験の緊張感とともに記憶され、感情をともなう言葉になる。


🏫 言葉の自由研究が日常にある場所

語学学校で働いていると、授業中だけでなく、講師同士の雑談や、生徒のつぶやきの中にも“言葉の発見”がある。

「放鸽子」も、「散歩しましょう」も、
辞書には載っていない“気持ちのことば”。

そういう言葉に出会える場所が、語学の現場にはある。
noteを書くことも、私にとってはその出会いを記録する自由研究なのかもしれない。

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